■会社概要 商号 マツオインターナショナル株式会社 代表 代表取締役社長 松尾 憲久 創業 1958年5月15日 設立 1985年12月21日 従業員数 723名 ※2021年6月現在 事業内容 婦人服飾、雑貨、小物製造販売 ■取材日:2021年12月7日
我々のミッション及びバリューは、今までに無い商品を提供することで生活に新鮮な彩りを添えてもらうこと
素材重視、美しいシルエット、意外な組み合わせの提案で、日本の美を前提としたライフスタイルを世界に向けて発信されているマツオインターナショナル株式会社様の取組みについて、執行役員管理本部副本部長の谷口直樹様にお話を伺いました。
■SDGsアクションの取り組みのきっかけは?
コロナ以前より、百貨店を中心としたアパレルの撤退が相次ぎ、什器資材や人的資材の遺失が見られるようになりました。弊社では、元々社風として「もったいない精神」が受け継がれており、折角の揃えた資材や育った人材がもったいないと、その資源の活用、再生に役立てるように、出店を意識して行うことがきっかけとなりました。
■御社はSDGsに対してどのようなことに取り組んでいますか?
商品も重要な資源として意識し、一時社会問題視されていた環境破壊につながるような廃棄も行っていません。自社ショップやイベント等で最後まで売り切る販売や、残反などもノベルティや小物の製作で、無駄をなくし廃棄物を出さない取り組みを永年行っています。
また、全国の百貨店で売り場に出来た空きスペースの有効活用を手掛けており、出店時には新たな什器を製作せず既存のモノを活用することで、資源を無駄遣いせず廃棄の削減に取り組んでいます。
新たな売り場では、直接の販路を持たないメーカーやコロナ禍で販路を失い廃棄処分をせざるを得ないメーカー等に場所を提供し、企業経営の持続化の一助となる事業も始めています。
■どの部署がSDGsの活動を推進していますか?
専門部署はありませんが、弊社の代表が毎年掲げる「未来創造計画書」で全社員に方針が示されます。この中で「再生」が取り上げられており、再生の5R(リユース・リモデル・リハウス・リメイク・リプロダクション)をコンセプトに、各部署が推進しています。
■社内の従業員や社外の取引先をうまく巻き込む工夫は?
再生をテーマとした全社的な事業計画の策定を通じ、社員が共有できる取り組みを行っています。弊社がコーディネーターとなって、既存の取引先とリユース企業との取組みの推進や、新たに他社とコラボしたリモデル商品の展開、室内のインテリアや植栽などの提案を通じた空間再生ビジネスへの着手も計画中です。「未来創造計画書」を基に、様々な業界のプレイヤーとパートナーシップを組み、環境問題をベースにした新たなビジネスへの取り組みを推進しています。
■活動の推進が難しいと感じている点はありますか?
弊社が得意とする、個性的なものづくりに欠かせない素材変化の加工や洗いの工程は、一部で環境への負荷が大きく、水の大量使用やCO2排出などで気候変動に影響を与える行為になる点が難しい。今後は新技術の開発・導入などで負荷の軽減に取り組みながら、同時にコスト高に影響されない弊社らしい新しい価値観を創造することが必要になると感じています。
「個の力=デザイナーの力」を100%引き出すことで、世の中にないユニークな商品を提案する
■2030年に向けて今後目指すべきものは?
第一番目には、企業内でのダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括性)の実践です。性別、年令、障害、国籍などにかかわらず、個々の多様性を認め、それぞれの個性を尊重し、能力に応じて適材適所で活躍できる場を提供していきたいと考えています。企業内の誰にでも仕事に参画・貢献するチャンスがあり、平等に機会が与えられることで、これまで以上に社内リソースの有効活用を目指しています。これはSDGsに謳われている「誰一人取り残さず」にも合致すると思います。
第二番目には、産地と消費者を結びつける販路の確保とIT活用により、精度の高いD2Cを目指しています。関連会社の新潟見附産地匠の夢の高い技術力をより磨き上げ発展させ、弊社の小売部門であるロン都で直接消費者にお届けしたい。
さらに、小売を強化すべく開発中の施設「about her.」では、館内の空間提供を通じてクリエイターの多様な才能の発掘も行うことで、持続可能な消費と生産のサイクルの構築すること。また、近隣の方が利用することで地域の文化サロン的な施設に育っていければと考えています。
■これから関西ファッション連合に期待することは?
各社に埋もれているリソースや技術を結びつけ、企業同士のパートナーシップが円滑に行われるように、業界のプラットフォーム的な環境を提供されることを期待します。
■取材者あとがき
人も商品もグローバルに、産地から店頭・消費者までを一気に繋ぐ取組みに更に磨きをかけ、異業種とのコラボレーションにも積極的で、次々と出される新しいライフスタイルの提案からユニークなビジネスが生まれています。その事業活動そのものがSDGsの目標に沿っており、個々の個性を尊重したモノづくりと共に企業の強さの理由だと感じました。今後も多様性と包括性の実践を通して、更に魅力ある企業として発展されることを期待しています。取材協力ありがとうございました。