商号  株式会社マーキーズ
代表  代表取締役社長 廣畑正行
創業  1991年12月 6日
設立  2002年 8月19日
従業員数 252名(内アルバイト137名)※2021年2月現在
事業内容 衣料品小売り販売、オリジナルアパレルブランドの製造・販売

■取材日:2021年 2月 4日

SDGsに取り組むのが当たり前の風土や文化を目指したい


アメカジ子ども服のセレクトショップからスタートされ、今では多くの直営店を出店されながらオリジナルブランドも多数展開されている株式会社マーキーズさまの取組みについて、代表取締役社長の廣畑正行さま、商品本部・営業本部 本部長の内藤浩次さまにお話を伺いました。

■SDGsアクションの取り組みのきっかけは?
2年程前から、サプライヤー様から商談時にSDGsに貢献が出来る副資材や生地のご提供を受ける機会が何度かありました。その当時は、提案のバリエーションが少なかったり、価格が割高だったりした為、興味はあったものの積極的に取り入れるまでには至りませんでした。
2020年7月スタートのプラスチック製買物袋有料化の対応を考え始めた2019年12月頃より、紙製ショッパーへの変更とエコバッグの開発がきっかけで、お客様に直接お渡しして使っていただくものとして、環境負荷に対して考えるようになった事がきっかけです。

■御社はSDGsに対してどのようなことに取り組んでいますか?
私たちは子ども服の小売業です。「子ども達とご家族の事を第一に考えたものづくり」を創業時より根底に置き、身に着けた時に安全で安心出来る快適な商品の提供を常に心がけています。サプライヤー様と共に「つくる責任つかう責任」は特に意識して取り組んでいっております。

①COTTON USAの活用
テキスタイル・エクスチェンジの推奨繊維・素材リストであるCOTTON USAの取扱いを増やして、環境と社会に配慮した商品開発を行っています。2020年の年間の取扱いは16型92,000枚で、3年連続でBrand/Retailerのライセンシー資格も取得しております。店頭にPOPを置き、お客様に知っていただくための活動も進めており、今後もCOTTON USAの活用を推進していきます。

COTTON USA素材を活用した商品
COTTON USAのPOP

②アップサイクル
古着の使用できる部分を裁断・再縫製したり、裁断後の端切れを繋ぎ合わせて、新たな製品を製造(アップサイクル)し販売する取り組みを始めました。アメリカはリサイクルが文化として根付いていて、団体が古着を回収して小売店に集めるサイクルが成立していますので、そこで調達した古着をパキスタンで分別・裁断・縫製し、その商品を販売しています。古着や裁断屑の廃棄を減らし、資源の有効活用に貢献しています。

アップサイクル商品のサンプル

③ 日本製の取組み
Made in JAPANである「JIPPON」というオリジナルブランドを展開しています。日本各地(香川県・広島県・奈良県)の縫製工場と提携して継続的に製造していただいた商品を販売しています。特にストレッチパンツは2010年からシリーズ累計販売本数が43万本を超えています。

JIPPON

また、三井住友銀行様からSDGs推進融資企業として、当社のSDGs推進活動に対しての評価もいただきました。併せて、日本経済新聞の三井住友銀行様の全面広告にSDGs推進融資企業として掲載していただきました。

三井住友銀行SDGs推進融資実行証
日本経済新聞 広告掲載

■環境、社会、経済の中での重点と考えているのは?
全てに配慮してリンクして考えなければならないと思っています。ただ、サプライチェーンの最後にいる私たちは各サプライヤー様がいないと成り立ちませんので、経済に軸足を置き、そこから社会、環境とバランスを考えてその時々に最適解を考えていきたいと思っています。

草の根活動で認識を徐々に広げていきます


■どの部署がSDGsの活動を推進していますか?
専門部署はありませんので、SDGsに関する情報を集めて、事業や商品にどの様に組み込んでいけるか検討しながら進めています。まずは、ものづくりに携わる商品本部と共に、無理なく出来ることから進めています。

■社内の従業員や社外の取引先をうまく巻き込む工夫は?
社内の従業員に対しては、SDGsに関して取り組んだ事例を社内メールにて定期的に発信をして共有しています。今後はSDGsに関わった製品を増やしていきますので、商品を通して店舗スタッフには特に周知していきます。コツコツと草の根活動を行ないながら、認知度向上を目指したいと思います。
また、サプライヤー様には、私たちがSDGsの開発目標に取り組んでいく企業として意思表示をしていますので、商談時には必ずご提案や情報をいただく様にしています。ホームページ上でSDGsを支援している内容を掲載しておりますが、その中でSDGs推進融資の件で三井住友銀行様と相互リンクを貼り、より多くの方に知っていただくよう取り組んでいます。

■活動の推進が難しいと感じている点はありますか?
私たちがどの目標に対して率先して貢献できるのか。そして具体的に貢献できるのか。事業活動として取り組むにあたり、当社の製品やサービスを無理なく紐付けて、継続して実施することで、このSDGsや社会的課題解決に貢献できるのか等、客観的な判断と評価が難しいと感じています。今はコロナ禍の不況を脱出することが優先です。しかしSDGsの活動も考えておかなければ生き残れないと考えていますので、生き残り方をどのように考えるかが重要です。

自分ごとと捉えて意識し行動に移す


■2030年に向けて今後目指すべきものは?
私たちは洋服やファッショングッズを通して、ショッピングの楽しさをご提供し、「洋服と人のチカラでご家族の日常をもっと笑顔にすること」を使命だと考えています。当社に集い、働いているスタッフの誰もが同じ思いを共有しています。より働き甲斐のある会社であり続ける為に、知恵を絞り、社会や環境の変化に適応し続けられる人材の育成に力を注いでいきたいと思っています。
SDGsへの取り組みは、一人一人が自分ごとと捉えて意識し行動に移すことで広がりをみせると思いますので、取り組んでいるのが当たり前の風土や文化になっていることを目指したいと思います。当社は子ども服を扱っている企業として、これ以上環境を悪化させるわけにはいかない。子ども達の未来のためにやるべきことは何なのか、という事を常に考えていきたいです。

■これから関西ファッション連合に期待することは?
SDGsに関しては、繊維業界が特に取り組むべき課題や目標を分かりやすく情報発信していただき、世界の潮流や他業種の取り組み等も合わせて共有していただきたいです。引き続き期待することとしては、組合員企業や業界の発展となる意見等を集約していただき、行政機関へ提言し続けていただく事と、何事も気軽に相談事が出来るよう門戸を広げ続けていただければ幸いです。

■取材者あとがき
子ども達の将来に豊かな社会を残すことを意識して、できることから取り組んでおられる姿勢は、まさに持続可能な社会を形作る礎になると思いますし、SDGsが日常に溢れている時代になった時に、お客様から選ばれる会社であるために必要なことだと感じました。取材協力ありがとうございました。