■会社概要
商号  清川株式会社
代表  代表締役社長 清川要治
創立  1950年5月
設立  1958年12月
従業員数 145名
事業内容 服飾資材、繊維製品、鞄、健康関連商品卸並びに輸出入

■取材日:2020年12月10日

70周年を機にエコ商材のサンプルブックでSDGsを訴求


今年70周年を迎える服飾資材、繊維製品を取り扱う専門商社。最近では鞄、アクセサリー雑貨まで商品を拡大され、国内はもちろん中国、香港、ベトナム、ミャンマーなど幅広くグローバルに展開されている清川株式会社さま。その取り組みについて執行役員の酒井さま、商品開発室マネージャーの原渕さま、総務部課長代理の高嶋さまにお話を伺いました。

■SDGsアクションの取り組みのきっかけは?
2019年の夏ごろエコロジーが大事であるとの話があり、PRADAがリサイクルナイロンを使った鞄を発表しました。8月の役員会において、各役員に対してCSRとサスティナブルについてどう考えるかという課題が与えられ、まず役員の意見を纏めるところから始めました。今年が創立70周年の年にあたり、当社の取組としてまずはエコから推進しょうという方向が決まりました。副資材の自社開発も含めエコ商材のサンプルブックを作成し今年の1月6日に各営業に配布、清川としての方向性を打ち出しました。

■御社はSDGsに対してどのようなことに取り組んでいますか?
2月を過ぎコロナ禍に突入していく中、経済不調により通常の副資材の需要は少なくなりました。また、多くの外国人が来日するオリンピックは海外に向けて日本のエコへの取組を発信できる好機と捉え、小売業などにエコ商材をアプローチする予定でしたが、オリンピックの延期、経済不安を受け、改めて何をすればよいのかを検討しました。その結果、高齢化社会とウイズコロナをキーワードとし「健康」に力を入れていくことになりました。先般の展示会ではそのテーマを「Health&Ecology」とし取組んでいくこととしました。来年から「Health&Ecology」商材は本格的に動き始める予定です。

エコ商材のサンプルブック
「70th Accessory & Ecology」

健康商材としてゲルマニウムを練り込んだ糸「チオクリーン糸」、数種類の鉱石を練りこんだ素材「セリアントⓇ」、集積機能性ミネラル結晶体「イフミック」を提案しています。重衣料が厳しい時代では異業種、異分野など様々なところに売っていかなければなりません。その中でも社会貢献が出来る商材の取り扱いはSDGs3番につながります。 自社オリジナルのサスティナブル商品の開発を進めています。来年以降発表をしていく予定です。副資材では環境に優しい商品づくりを目指しSDGs12番、13番、14番、15番を中心に取組んでいます。

展示会パンフレット
「Health & Ecology」より
展示会パンフレット
「Health & Ecology」より

■環境、社会、経済の中での重点と考えているのは?
難しい質問ですが、社会と環境でしょうか。

■どの部署がSDGsの活動を推進していますか?
資材事業部が健康商材やエコ商材を開発しており、その延長線上で製品になりますので、資材事業部で推進をしています。

会社の方向性を全社員と共有、理解を深めながらSDGsを推進


■社内の従業員や社外の取引先をうまく巻き込む工夫は?
今年の初出の日には全社員に取組を発表しました。社内用のパンフレットを配布し、説明しながら理解を深めてもらいました。外部の方には展示会などで説明をしています。また、社員を巻き込み、意識を高める取組として、社員の名刺を環境に優しい新素材に変更しました。「健康経営優良法人」の認定申請も現在進めています。
また、カンボジアに中学校を建設するプロジェクトに賛同し、基金に協賛するなどのCSR活動を社内報に掲載し社員に発信をしています。女性総合職の採用なども積極的に進めております。

カンボジアの中学校
協力企業の銘板

■活動の推進が難しいと感じている点はありますか?
当然コストの問題があります。あとファッション性を重視すると健康商材は難しい部分があります。取引先によってTPOがまったく違いますので見極めてお勧めしています。ファッションの世界では商材のひとつとしてお勧めし、プラスアルファーとして健康とかエコについてお伝えするようにしています。

サーキュラーエコノミーの実現を目指して環境に配慮したものづくりをスタンダードに


■2030年に向けて今後目指すべきものは?
エコ商材のサンプルブックを持って1月から取引先に提案をしていますが、コロナの影響でなかなか採用には至っていませんが、興味は持っていただいています。通常品より価格が高いなど難しい部分もありますが、今後広まっていく事でスケールメリットが出てきますし、これがスタンダードになれば良いと思っています。当社は副資材を提案していますが、表地も含めてトータルでエコな製品作りを営業では提案をしています。
今後、エコについて大きく取組もうとされている企業もあります。大量に商品を生産すると必ずロスが発生し焼却される商品もでてきますが、焼却はCO2を排出することになりエコではありません。販売した服を回収する業務が必要となり、それを再生させた生地や付属を作り、製品を作る時代が来ると思います。繊維業界は大きく変わるのではないでしょうか。

■これから関西ファッション連合に期待することは?
会員企業さまに商品を紹介したり、同業企業さまと情報交換ができる機会があればいいですね。参加させて頂いたセミナーのグループディスカッションの際には名刺交換をし、交流ができ非常に有意義でした。このような機会を引き続き設けて頂きたいと思います。会員企業が集まるスポーツの大会「運動会」なども交流の機会になり面白いかもしれません。また、2025大阪万博に向けて関西の繊維業界を活性化する取組を何か仕掛けて盛り上げて欲しいです。

■取材者あとがき
70周年の記念の年に会社としての方向性を決定し全社員へ発表、計画性をもって取組まれているその推進力は部門を超えた全社のチームワークから生まれていると感じました。繊維業界のサーキュラーエコノミーの実現に向けた今後の取組が楽しみですね。取材協力有難うございました。