■会社概要
商号  株式会社ディープサンクス
代表  代表取締役 重延賢治
設立  2002年7月1日
従業員数 24名
事業内容 レディスアパレル製造・卸

■取材日:2020年11月27日

社名のディープサンクスの気持ちで日々取り組んでいます


レディスアパレルのBtoB事業をベースにBtoC事業への展開を拡げている株式会社ディープサンクスさまの取組みについて代表取締役社長の重延賢治さまにお話を伺いました。

■SDGsアクションの取り組みのきっかけは?
会社名のディープサンクスはこの会社を立ち上げるときにお世話になった皆さんへの感謝を忘れてはならない、恩返しをしなければならない、という思いからこの名前を付けました。そんな思いがありましたので、会社を立ち上げた時から、障がい者の作業所を運営する福祉関係の会社への支援を行なっておりましたが、なかなか継続することができませんでした。
そんな外向きの思いが強かったのですが、先輩社長から、先ずは従業員が充実して働くことができる環境を作ることが先だと言われ、そのことに取り組んだ結果、ようやく業績も安定し外に向けて活動ができる環境が整ってきました。最近ではCSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)を意識して何が出来るかを従業員と知恵を絞っているところです。特に教育をテーマとした取組みを行ないたいと考えています。

■御社はSDGsに対してどのようなことに取り組んでいますか?
先ず、自社商品についてはリサイクルポリエステルを活用したニット商品を10品番展開。また副資材についても袋や下げ札などに使われているプラスチック製品の見直しを始めています。また、在庫品については定期的に佐賀県にある施設の職員や子供達に着てもらえるよう寄付させて頂いています。
そして関西ファッション連合さんが推進されるユニセフへの寄付や、障がい者のファッションショーなどについては積極的に協力させていただくようにしています。このような自社単体での取組みに加えて、ECサイトを運営されている取引先さまとは、商品の販売、回収、リサイクルなどの仕組みを作り、SDGsに繋がるような活動ができないか検討を始めています。他にも売上の何パーセントかで社会貢献活動する仕組みを作り、そのような思いを持つ会社を募ることで活動を拡げることもイメージしています。
これまで会社がしんどい時もありましたが、そんな場面でもお客さまや取引先さまが支えてくださったことに深く感謝しています。そんな意味からもこれからは「恩送り」をしたいという気持ちが大きくあります。

同社のショールーム

■環境、社会、経済の中での重点と考えているのは?
この中ではやはり環境がもっとも大事だと考えています。我々が取り扱う芯地は服になると見えない存在ではありますが、最後は土に還る素材を提供することで、環境に貢献できるのではないかと思っています。そもそも芯地は、美しいシルエットを表現するという役割だけでなく、型崩れしない、縮まないなど耐久製についても大きな貢献をしています。例えば学生服であれば3年間毎日着るものであり、何度洗濯しても縮まないなどの高い耐久性が求められます。
長く使うことで愛着も持っていただける、愛着を持つことでモノを大切に使う気持ちが芽生える、など見えないところから持続可能な社会に貢献できれば嬉しいことだと思います。

35項目のフィロソフィーでなぜ働くのかを考えています


■どの部署がSDGsの活動を推進していますか?
2019年にBtoC向けに立ち上げたブランド「LIAN」が好調なので、このブランドを通じて様々な取組みにチャレンジしたいと考えています。またこの後は「flame」というブランドから派生する新ブランドを立ち上げ、ECサイトでの販売を計画していますので、社員の自発的な発想をベースに取り組んで行きたいと思います。

LIANのコレクション

■社内の従業員や社外の取引先をうまく巻き込む工夫は?
当社には35項目のフィロソフィーがあり、社員に対してもなぜ働くのかをしっかり考える機会を提供するようにしています。具体的には毎週月曜日にテーマを選び、それが出来ているかどうかを考える時間を作っています。また社訓、社是についても明文化しており、毎朝唱和する時間を設けています。またお正月の初出の際にはおでんパーティーとして取引先にも振る舞ったり、仕事納めや長期休暇の前にはみんなが交流できる機会を作るようにしています。これらの取組みを通じて社員の皆さんにも働きがいのある環境を作りたいと考えています。

同社の経営理念

■活動の推進が難しいと感じている点はありますか?
まだSDGsを切り口にした商談はビジネに繋がりにくいと感じていますので、さらなる啓蒙活動の重要性を感じています。日本の市場だけで今後の成長を考えるのは難しいと思いますので、東南アジアやインドなど、今後成長が期待されるアジア市場に展開するためにも次のステージを考えたものづくりが求められていると思います。

教育を実践する場として令和の寺子屋を作りたい


■2030年に向けて今後目指すべきものは?
やはり教育ということをテーマに寺子屋のような場所を作ることで若い経営者を育てる機会を作っていきたいと思います。会社が何の為にあるのかをみんなで勉強できる場所があるといいなとイメージしています。 また会社を立ち上げる時には起業資金をバックアップできるような仕組みを作りたいと考えています。教育と資金の二本立てで起業家を支援していきたいと思います。

■これから関西ファッション連合に期待することは?
KanFAの高い信用力を活用して色々な取組みの冠になっていただくことを望んでいます。新しい経営者を育てるということについても期待するところがあり、現在のアパレル業界の中で状況が良くない企業を支援するような仕組みを作るのもいいと思います。 何事にもフットワーク軽く新たなことに柔軟に取り組むことを期待しています。今後はSDGsに取り組む企業を応援するような仕組みもあれば有り難いですね。

■取材者あとがき
経営者の勉強会に積極的に参加しながら常に会社の存在意義を考える。フィロソフィーをしっかり明文化することで社員と共有する。そんな姿勢から「恩送り」という言葉が出てきたように思います。まさに持続可能な経営こそがSDGsに繋がりますね。取材協力ありがとうございました。