■会社概要
商号  株式会社サンウェル
代表  代表取締役社長 今泉治朗
創業  1966年(昭和41年)10月
従業員数 219名(男性:75名・女性:144名)
事業内容 繊維ファッション総合商社
取扱商品 衣料及び資材用テキスタイル全般、レディース・メンズ・こどものアパレル製品、インテリア雑貨製品

取材日:2020年9月1日

SDGsの前に経営理念あり!社会に貢献することは我が社のビジネススタイル


テキスタイルの総合商社としてグローバルな拠点を持ち自社ブランドも展開されている株式会社サンウェルさまの取り組みについてSDGsプロジェクトメンバーの中嶌謙吾さまにお話を伺いました。

■SDGsアクションの取り組みのきっかけは?
そもそもSDGsのアクションに取り組もうという前に、当社の企業理念の中に「社業の繁栄を以て各人の生活の向上を計り社会に貢献しよう」という一文があり、創業以来ずっと行ってきた活動がSDGsに繋がっていたという感覚の方が近いですね。我々は生地を販売している訳ですが、例えば1着のシャツを作るには約2メートルの生地が必要になります。しかし生地の生産は2メートルだけを作るというわけにはいきませんので、沢山作った生地をお客さまが必要な分だけ販売するという仕組みを提供しています。必要な数量の計り売りスタイルを創業当時から提供することで、お客さまの過剰在庫にならないビジネススタイルをモットーにしてきました。そのような中、数年前から総合展示会において我々の取り組み内容をパンフレットにまとめて紹介してきたものを、今年からホームページに掲載するようにしました。

■御社はSDGsに対してどのようなことに取り組んでいますか?
現在、10個の取り組みを行っておりますが、中にはSDGsが制定された2015年よりも以前から取り組みを始めている活動もあります。

■(1966年~)テキスタイルストック
創業以来54年間、生産・物流を効率化。必要な時期に必要な数量をお届けし、生産の無駄や物流に伴うCO2排出量削減を推進。業界ではいち早く取り組んだ

■(2008年~)オーガニックコットン
自然に優しいサイクルで栽培する

■(2016年~)ピース・インド・プロジェクト
インドのコットン種子栽培にかかわる子どもたちへの支援

■(2016年~)サンプルリユース
生地見本回収で環境配慮と子どもたちへの支援

■(2019年~)エコペット®
2つのリサイクル方法で生まれるポリエステル繊維

■(2019年~)SOLOTEX🄬×エコペット®
  植物由来繊維とペットボトルでつくる

■(2019年~)e&dress™
ペットボトル生まれのコットンの風合い

■(2019年~)RENU®
”繊維から繊維”で実現するサーキュラーエコノミー

■(2019年~)COOLMAX®
97%リサイクル資源から繊維に再生

■(2019年~)Paralym Art®
障がいのある人々の可能性を広げる

これらの取り組みの中でもサンプルリユースについては、当社の特長を活かしたものであると認識しています。当社では大量のサンプル帳をお客さまに提供していますが、商品化を終えたサンプル帳を捨てるのではなく、返却いただき当社が寄付をすることでお客さまにもSDGsの活動に間接的に参加していただくことができます。また気軽にサンプル帳を持ち帰っていただくことで、メーカーとしてのものづくりの幅が拡がることにも繋がっています。このような取り組みを通じて「サンウェルと関わることでSDGsに貢献できる」という理解が拡がることに期待しています。

SDGs関連素材の紹介
パラリンアートのコレクション
サンプル返却用のボックス

■環境、社会、経済の中での重点と考えているのは?
経営理念の一文にもあるのでやはり「社会」が大きなテーマになっています。しかしSDGsのテーマに着目することで今後は「環境」や「経済」というテーマにも意識して取り組んで行きたいと考えています。とはいえ我々は環境に優しい素材を開発できるメーカーではないので、メーカーさんが開発された素材を取り扱い、それをお客さまのビジネスにうまく繋げることを使命にしていきたいと思います。

社員の自発的なアイデアから新しい取り組みがどんどん生まれています


■どの部署がSDGsの活動を推進していますか?
今年度SDGsプロジェクトを発足し活動を推進しています。取り組み内容を紹介したパンフレットを展示会で配付し、その後ホームページにも活動内容を紹介していますが、ちょうど9月からは、これまでの活動を一歩前進させるべく、具体的なテーマを持った分科会活動の立ち上げを計画しているところです。

■社内の従業員や社外の取引先をうまく巻き込む工夫は?
元々は当社の社長が「国内で捨てられる衣服が年間およそ100万トンある」という情報を起点にして当社で出来ること、やるべきことは何かという問いかけから始まった活動なので、トップダウンで取り組みが出来ているという安心感があります。その上で、ホームページで「活動レポート」というページを作り、最初に行なった勉強会やワークショップ、様々な活動内容を随時紹介しています。直近では自社ブランド「ヴェロフォンナ」「ハウピア」、サンウェルグループの「㈱フィス」が取り組むSDGsのアクションも紹介。社員の自発的なアイデアが具体的なカタチになってきています。この「活動レポート」を社員にも取引先にも見ていただくことで活動の輪を広げて行きたいと考えています。

■活動の推進が難しいと感じている点はありますか?
強いて挙げれば「ジェンダー平等を実現しよう」というテーマかもしれません。当社では女性社員の比率が高く(65%)現場、実務面では大きな戦力となっております。近年は福利厚生の側面からも女性が長期間に渡り働きやすい職場環境になることを目指していますが、女性管理職の比率(15%)などについては世界基準に及ばず、まだ課題があると認識しており女性の成長と登用に注力している過程です。

我々の活動にゴールはない。和の精神で共に努力を続けることこそが大切


■2030年に向けて今後目指すべきものは?
当社の理念に「信頼と堅実をモットーに全員参加による目的達成に努力しよう」という一文があるのですが、「目的達成しよう」ではなく「目的達成に努力しよう」となっていますので達成すれば終わりではなく、終わる事なく努力し続けることが我々のスタイルです。そのような意味でSDGsにおいても2030年で終わるという理解をしていません。また当社では「和の精神を重んじ」という言葉があるのですが、この和は輪に通じるものであり、取引先、お客さま、従業員を含めすべてが繋がっているという意味がそのまま社会に繋がりますので、広く社会を意識した取り組みをゴールで区切ることなく続けて行きたいと考えています。

自由に訪問できるショールーム

■これから関西ファッション連合に期待することは?
沢山の情報を公開していただくことに期待しています。我々は数多くの取引先をもっているのですが、各社各様にその背景や取り組み内容は異なりますので、より多くの情報を提供いただくことが、我が社の活動においても貴重な情報源のひとつになります。そのような情報を活かしながら当社でも単に仕入れて売るということではなく、幅広い相談ごとをいただけるような企業になりたいと願っています。

■取材者あとがき
2015年に制定されたSDGsよりもずっと前から社会に貢献することを経営理念としてきた歴史を持っておられます。また「目的達成しよう」ではなく「目的達成に努力をしよう」という社訓が終わりなき活動の源泉にもなっています。まさに付け焼き刃のSDGsではなく、創業以来の社訓に裏付けられた活動のひとつひとつが豊かな社風を表していると感じました。取材協力ありがとうございました。